知足
知足、つまりは足るを知るということ(足りている、満たされていることを実感する)。
まさに字のごとし、百獣の王ライオンであっても、メタボリックなライオンは見たことがありません。
ところが「人間は自分の欲望のため」に命を奪います。
今の自分が如何に幸福な環境にあるかを感じることが出来ない、ある意味で麻痺しているのかもしれません。
こんな話を知っていますか?
いただきます
「いただきます!」
お食事を頂く際には、日本人の殆どはこの言葉を口にするかと思います。
「お母さん作ってくれてありがとう」という意味だけでは無いですよね。
作ってくれたお母さん、お父さん、厨房の方、食材を販売する方、食材を育てた方、食材の育つ源である大自然・・・
言葉で現しきれない程の多くの人々や多くの恵みの元に目の前の食事があるわけです。
目の前にある「命を頂戴します」これこそが「いただきます」なのですね。
信州では「ご馳走さま」ではなく「頂きました」というと伺い驚きました。
「命を頂戴しました(これでまた命を繋いでいくことができます)」という意味なのでしょうね。
命の犠牲のもとに
私たちの平均寿命は年々伸びているようです。
長野県では平均寿命が80歳を超えているそうですが、医療の分野で考えてみることにします。
皆さまは実験動物をご存知でしょうか?
すぐに頭に浮かぶのはマウスですが、うさぎやミニブタなど年間で1億匹以上が実験に使用されているのです。
何をしているのかと言えば、ガンの新薬であったり、皮膚病の薬であったりと人間が使用するに至る前段階で投与を行い効果のほどを確かめているのです。
新薬が発表され、私たちが実際に使用するまでには数年間の臨床期間がありますが、つまりは彼らが犠牲となって私たちの為に薬を投薬されているわけです。
食材として直接的に命を奪われるもの、実験として犠牲になるものなど様々な命の犠牲の上に、「平穏な日常」が存在するのであるということを知っておく必要があるのかもしれません。
このようなことを考えると、今の生活が如何に満たされた環境であるのかを考えさせられます。
感謝の気持ち
「チキン感謝祭」という行事を行う会社があります。
世界的に有名な「ケンタッキーフライドチキン」では、鳥たちに感謝の心をもって「チキン感謝祭」という感謝の気持ちを捧げる供養を行っているそうです。
この会社は世界企業ではありますが、鳥に対する供養を行っているのは日本だけと伺いました...
この話を聞いて「何でかしら?」と思いましたが、日本人として生活する中で自然と仏教の教えが浸透してるからなのだということに気が付きます。
宗教観や、生活環境、さまざま要因はあるのでしょうが、やはり私たちは命を頂戴しているという実感があるわけで、感謝しなければ気持ちが悪いのです。
これは何も動物に限ったことではなく、目に映る全てのものに宿るのが仏のいのちです。
足るを知ることで、生活が変わります。生活が変われば心も調います。